在留資格「特定技能」について
在留資格「特定技能」とは、深刻化する国内の人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を持ち、即戦力となる外国人労働者を受け入れるために新設された資格です。2018年の有効求人倍率は44年ぶりの高水準を記録し、日本企業は深刻な人材不足に直面しています。この問題に対応するため、2019年4月に「改正出入国管理法」が施行され、外国人労働者の受け入れ拡大が進められています。従来は単純労働に従事できる外国人は留学生のアルバイトや日本人配偶者・永住者に限られており、人材不足の解消には至っていませんでした。そこで新設された「特定技能」と従来の就業可能な在留資格との主な違いを以下にまとめました。
特定技能 | 技能実習 | エンジニア | 留学生 | |
---|---|---|---|---|
在留資格及び内容 | 特定技能 単純作業可能 |
技能実習 単純作業可能 |
技術・人文知識・国際業務 単純作業不可 |
留学 単純作業可能 ※週28時間以内 |
在留期間 | 通算5年 (1年,6ヶ月又は4ヶ月毎の更新) |
合計で最長5年 技能実習 1号:1年 2号:2年 3号:2年 |
5年、3年、1年 又は3月(更新可能) |
在学中 |
技能水準 | あり | なし | なし | なし |
入国時試験 | あり (技能試験、日本語試験) ※技能実習2号 良好修了者は免除 |
なし (送出機関での選抜試験あり) |
なし (学歴要件あれば 実務経験不要) |
なし |
受入企業での人数枠 | なし | あり | なし | なし |
転職 | 可能 | 不可 | 可能 | 可能 |
家族の帯同 | 可能 ※特定技能1号は不可 |
不可 | 可能 | 不可 |
目的 | 人手不足解消 | 国際貢献 | 就労 | 就学 |
Support Details
支援内容
特定技能所属機関は、1号特定技能外国人が安定かつ円滑に活動できるよう、職業・日常・社会生活に関する支援計画を作成する必要があります。支援には、必ず実施しなければならない「義務的支援」と、必要に応じて行う「任意的支援」があり、義務的支援は全項目の実施が必須で、支援計画にも全てを記載する必要があります。なお、特定技能所属機関は、契約により登録支援機関に支援の全部または一部を委託することも可能です。
事前ガイダンス
出入国する際の送迎
住居確保・生活に必要な契約支援
生活オリエンテーション
公的手続き等への同行
日本語教育の機会の提供
相談・苦情への対応
日本人との交流促進
転職支援(人員整理等の場合)
定期的な面談・行政機関への通報
Flow
受け入れまでの流れ
現在、特定技能で外国人労働者を受け入れる方法は以下の3つです。
①技能実習2号を良好に修了した後、試験免除で特定技能に移行する方法
②日本に滞在中の留学生が技能測定試験に合格する方法
③海外で技能測定試験・日本語試験に合格した人を日本に呼ぶ方法

技能実習から受け入れまでの流れ
技能実習3号からの移行
(2号移行対象職種の場合)※通算10年

基礎級(初級)
合格

随時3級(専門級)
合格
※2年経過時一時帰国

変更申請
技能実習2号からの移行
(2号移行対象職種の場合)※通算8年

基礎級(初級)
合格

随時3級(専門級)
合格
在留資格変更申請
この中でも、技能実習から特定技能への在留資格変更による移行方法❶が多く選ばれています。理由は、より長期間働いてもらえることと、技能実習生としての就労経験があるため即戦力になるからです。
❶の方法では、技能実習2号を良好に修了することが条件で、良好な修了とは
(1)技能実習2号を2年10か月以上修了していること
(2)技能検定随時3級または技能実習評価試験専門級の実技試験に合格していること
が必要です。既に技能実習生の経験がある場合、3年満了時に条件を満たしている可能性があります。
もし技能検定随時3級や専門級に合格していない場合は、実習先企業と監理団体が「評価調書」を作成します。評価調書には、当時の出勤状況、技能習得状況、生活態度や日本語能力についての所見が記載されます。ただし、同じ会社で特定技能申請をする場合で、過去1年以内に技能実習法による「改善命令・改善指導」を受けていなければ、評価調書の提出は省略可能です。